いつの時点でお役御免になるのかがポイント!
お客様から以下のような質問をよく受けます。
「自社の製品を顧客に納品した際、顧客から梱包資材一式を引き取って欲しいと言われ、段ボールや緩衝材などを自社に持ち帰って来るのですが、これは問題ないですか?」 |
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「サービスの一環で当然持ち帰りでしょう。お客様が持って帰ってと言っているのに、いや廃棄物の収集運搬許可がないので置いて帰りますって言えないし、第一そんな些細なことを気にする人がいるの?」
と、大概の人はこう思いますが、廃棄物処理法を遵守されている企業は、こんなところにもちゃんと目を向けていらっしゃいます。
さて、廃棄物処理法では、この問いに対する明確な条文などがありませんので、一般的に運用されている見解をご紹介します。
その梱包資材がどの時点で不要になるかという視点がポイントです。
ただし、自治体によっては異なる判断をする場合がありますので、念のため都道府県または政令市の「廃棄物指導課」に見解を求めてください。
「下取り」についての疑義はこちらを参照
>>> 安易な「下取り」にご用心!
納品後すぐ不要となる場合
例えば家電販売業者が冷蔵庫を納品した場合、開梱して所定の位置に設置して、電源が入るのを確認したら、お客様が「置いていって!」と言わない限り、ほとんどの場合段ボールや緩衝材は当然のごとく黙って回収して帰ります。
「冷蔵庫の購入金額には、段ボールや緩衝材も含まれる」と解釈すれば、確かにこれらの梱包資材の所有権は購入者にあると言えなくもないのですが、一般的には「商品を搬送する際にキズがついたり破損したりしないよう、運搬のために供している」と考えるのが自然ではないでしょうか。
ですから『納品業者が納品時に商品を開梱した際に出た梱包資材は、納品業者が排出事業者である』と定義するのが最も合理的といえます。
納品した業者がこれらの梱包資材を自社に持ち帰って、段ボールはリサイクル業者に、樹脂製の緩衝材などは産業廃棄物としてきちんと処理すれば、収集運搬業の許可の有無が問題になることはありません。
また、梱包資材が「通函(かよいばこ)」のような場合は、これらの梱包資材自体が市場で循環して機能している間は『有用物』ですから、そもそも廃棄物処理法の管轄外です。
市場を循環している間に摩耗損耗で使用できなっくなった梱包資材は、納品する業者が適切に廃棄処理する責任があります。
納品後しばらくして不要となる場合
一方、商品を納入後、顧客がしばらく開梱ぜずに保管された場合、いざ開梱して商品を取り出した後の梱包資材はどうでしょう。
『顧客は保管のためにこれらの梱包資材を利用していたのだから、不要になった梱包資材の排出事業者は顧客である』とするのが合理的です。
顧客が一般家庭でない限り、段ボールはリサイクル業者に、樹脂製の緩衝材などは産業廃棄物としてきちんと処理する必要があります。
もしも納品後ひと月もしてから、「この前納品してくれた冷蔵庫の梱包資材一式を引き取りに来てくれない?」というわがままな顧客がいた場合は、「コンプライアンス上、無許可で回収ができないので、お客様ご自身で廃棄をお願いします。」と丁重にお断りしてください。
売買契約書で先に決めておく
廃棄物処理法は、「どの時点で廃棄物となって、その時の排出事業者が誰であるか」を重要視しますから、この梱包資材の取扱いは、まさにグレーゾーンであることは間違いありません。
このグレーゾーンに身を置くのはどうも居心地が悪いという方は、売買契約書の中に「梱包資材一式は、納入の際に納入業者が有用物として回収します」という契約内容を入れる方法があります。
これで安心です。
他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。
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