>>>このコラムは、安易な「下取り」にご用心② の続きです。
【4】正しい下取り② 新品を販売する際に「有価物として下取りする」
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『下取り品を買い取る』には原則古物商許可が必要
引き取りの際に「回収品を買い取る」場合は、古物商許可が必要ですか?という問い合わせをいただきます。
街の事務機屋さんや街の家具屋さんが、0円で回収したり費用を徴収して回収する場合は廃棄物処理法の対象ですが、引取りの際に1円以上で買い取る場合は、よほど怪しい業者さんでない限り『有価物』と判断できますから、この時点で廃棄物処理法の対象ではなくなり、今度は古物営業法の対象になります。
古物営業法は、「盗品が中古市場で売買されて現金化されることの防止」と「盗品の速やかな発見」を目的に定められた法律です。
盗んできたモノをわざわざ処分費を支払って他人に引き渡す盗っ人はいないでしょうが、1円以上で売買される場合は「それは盗品ではないか?」と可能性を疑われることになり、ほとんどのものが古物営業法の対象になります。
古物営業法では下表のとおり、古物を13の品目に分類しています。
号 | 古物の区分 | 具体例 |
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1 | 美術品類 | 書画、彫刻、工芸品、登録火縄銃、 登録日本刀など |
2 | 衣類 | 和服、洋服、敷物類、テーブル 掛け、布団、帽子、旗など |
3 | 時計、宝飾品類 | 時計、眼鏡、宝石類、装身具類、 貴金属類、コンタクトレンズ、 模造小判、万歩計、オルゴールなど |
4 | 自動車 | 自動車本体、自動車部品 (タイヤ、カーナビ、サイドミラーなど) |
5 | 自動二輪車及び 原動機付自転車 |
自動二輪車及び原動機付自転車、 その部品(タイヤ、サイドミラーなど) |
6 | 自転車類 | 自転車本体、自転車部品 (空気入れ、かご、タイヤなど) |
7 | 写真機類 | カメラ、ビデオカメラ、 双眼鏡、望遠鏡、顕微鏡、 光学機器、レンズなど |
8 | 事務機器類 | パソコン、コピー機、Fax、 シュレッダー、計算機、 レジスターなど |
9 | 機械工具類 | 電化製品、工作機械、 土木機械、医療機器類、 ゲーム機、電話機・ポケベル、 化学機械、工具類、猟銃、 小型船舶、自動販売機など |
10 | 道具類 | 家具、什器、運動用具、楽器、 パチンコ台・玉、CD/DVD、ゲームソフト、 玩具類、日用雑貨、コンテナ、漁業用具、 サーフボード、化粧品など |
11 | 皮革・ゴム製品類 | カバン・バッグ(ビニール製も含む)、 靴、毛皮類など |
12 | 書籍 | 古本、書籍類 |
13 | 金券類 | 商品券、ビール券、乗車券、航空券、 各種入場券、郵便切手、収入印紙、 株主優待券など |
以下のものは古物営業法で規定された「古物」に該当しません。
● 「古物」 に該当しないもの
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下取り品がコピー機なら「事務機器類」に、木製の机なら「道具類」に該当しますので、これらを買い取る場合は、原則管轄する警察署に古物商許可の申請が必要になります。
ただし、かなり限定的ですが、新品を販売する際に下取り品を買い取る場合、古物商許可が不要な2つのケースがありますので、次にそれをご紹介します。
古物商許可が不要となるケース①自分が販売した商品を買い取る
古物営業法では、街の事務機屋さんや街の家具屋さんが自分の店(または自分の会社の他の営業所)で販売したコピー機または木製の机を、直接販売した人から買い取る場合に限って古物商許可が不要であると規定しています。
●古物営業法第2条第2項第1号 |
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「他社が販売したコピー機」や、「お客様がAmazonで購入した木製の机」を買い取る場合は、古物商許可が必要になりますし、自分が販売した製品であっても、お客様が第3者に転売してその第3者から買い取る場合も、古物商許可が必要になります。
「倉庫にある古いコピー機は、5年前に当社がY社に販売したもので、◯月◯日にY社から3万円で下取りしたものです。古物商許可は持ってませんが、なにか?」と警察に対して明快に抗弁ができないと(証拠となる帳票類がないと)、それはそれはややこしいことになります。
古物商許可が不要となるケース②サービスの一環として一定額を値引く
警察庁生活安全局生活安全企画課長が、2018年6月18日付けで各都道府県の警察本部長あてに発出した通知(「古物の下取りに伴う商品の値引きの古物営業の該当性に係る質疑応答について」)が、古物営業に該当しない方法をQ&Aの形で明快に示しています。
(注)下線は筆者が入れました。
●古物の下取りに伴う商品の値引きの古物営業の該当性に係る質疑応答について |
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「サービス」という単語がこれでもかと出てきますから、この「サービス」という単語がキーワードであるに違いありません。
古物営業を事業目的にしていない小売店にしてみれば、買い換えの対象となる中古品をわざわざ手間暇かけて引き取るのは、顧客の便宜を図るサービスに他ならないのですが、「中古品の売買で利益を出すことを目的にしていないことをきちんと示すことができれば、古物商許可は不要です。」とこの通知は示しています。
そこで、「中古品の売買で利益を出すことを目的にしていないこと」を示すためには、以下の二つのポイントを外さないでください。
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ところでこの警察庁の通知、最後には『広辞苑(第7版)』の定義まで引用していることに、一種の感銘を覚えてしまいます。
このようなわかりやすい具体的な通知をこれからも期待しています。
【5】まとめ:下取りサービスを新たに展開する場合は
ここまで述べましたように『正しい下取り』を展開するのはけっこう大変です。
Amazonやヨドバシカメラ、ビッグカメラなどの家電量販店が、家電リサイクル法の対象家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)以外の回収サービスを行なっていない理由は、『正しい下取り』の難しさにありそうです。
そうかと思えば、通販業者であるジャパネットタカタのように、新品を販売する際に商品ごとに一定の下取り値引き額を提示し、買い換え需要をうまいこと喚起しています。
いずれにせよ、新たに下取りサービスを展開しようとする場合、「他社もやっているから自社も」というのではなく、法的な検証と自治体等への確認など十分な下準備が必要です。
「循環型社会の形成」という観点からすると、「下取り行為」は廃棄物の発生抑制に大いに貢献できるわけですが、前述のとおり、「下取り行為」は廃棄物処理法の条文として規定されている訳ではなく、環境省が発出した通知の「解釈」に基づいているだけなので、積極的な取り組みに対し腰が引けてしまう企業も多いはず。
廃棄物処理法と資源有効利用促進法のはざまにある「下取り行為」を、法的にきちんと定義づけることで多くの企業が積極的に取り組めるようになることを、是非とも行政にお願いしたいものです。
下取りに関連した記事「梱包資材の取扱い方法」はこちら >>> 梱包資材の排出事業者は誰でしょう。
「リスクを回避するために産業廃棄物収集運搬業許可を取得しておいた方がいいかな~」と思われた業者さんは、以下を参考にどうぞ。 >>> 許可取得までの流れ 他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。 産廃許可なら横浜市の産廃専門 Y&Y行政書士事務所に全部お任せ下さい! |
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