昔から「リサイクルするなら許可を取ってやりなさい!」と言われていますが・・・
お客様からいただいた以下のご質問を題材に、「リサイクル事業に許可は必要?」という考察をしてみたいと思います。
【質問】 リサイクル事業への新規参入を検討しています。 家畜の糞尿等(バイオマス)を農家から回収してメタン発酵施設でメタンガスを回収する事業を計画していますが、これは産業廃棄物の処分業に該当しますか? |
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リサイクル(再生)をひとことで言うと『廃棄物を原材料にして有価物をつくり出すこと』となりますが、製品としは有価物であっても、『廃棄物を処理する』ことにかわりはありません。
廃棄物を取扱うからには、生活環境保全上の支障をきたすという廃棄物の潜在的リスクと、きちんと向き合う必要があります。
さらに、廃棄物処理法第1条の法の目的を示す条文にも『再生』という言葉があるので、リサイクル事業は紛れもなく廃棄物処理法の適用を受けることになります。
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なお、脱法的なリサイクル偽装が後を絶たないということで、環境省が平成25年3月29日に発出した「行政処分の指針について」という通知の中に、脱法的と思われるリサイクルの事例を上げています。
ここで考察するリサイクル製品(メタンガス)は、誰からも後ろ指を指されることのない「有価物」であることを前提に話しを進めたいと思います。
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処分業ではなく製造業として廃棄物を扱う
一般的にリサイクル企業の場合は以下のような収益構造ですから、廃棄物の処理費用を徴収する限り「処分業の許可」と場合によっては「施設の設置許可」が当然に必要となります。
(廃棄物の処理料金)+(リサイクル製品を販売して得た利益)=(リサイクル企業の利益) (廃棄物の処理料金)>(リサイクル製品を販売して得た利益) |
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それが近年、リサイクル技術の進展に伴い、状況が少し変わってきました。
環境省が平成25年3月29日付けで次のような通知を発出しています。
●環境省の通知【平成25年3月29日付けの通知(環廃産発第 130329111号)】の抜粋 |
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例え廃棄物を加工現場まで持ち込むまでは廃棄物扱いであっても、その廃棄物を有価で買い取った後は、通常の製造業のスタンスで事業を展開するのであれば、処分業には該当しないと判断してもよいと言っています。
「循環型社会の構築と推進」を意識した、いわばリサイクル事業への参入障壁を低くしたと理解できる内容の通知です。
この通知の意図を質問者の方が計画されている「バイオマスを利用したメタン発酵事業計画」に当てはめて、以下のように回答しました。
【回答】 法律的には製造業者にも処分業者にもなれます。
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でもやっぱり「リサイクルするなら許可を取ってやられたほうが・・・」と言ってます
リサイクル事業を成功させる重要なポイントが2つあるといわれています。
●リサイクル事業の成功のポイント
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企業はゴーイング・コンサーンでなければいけませんから、この質問者の方が計画されている「バイオマスを利用したメタン発酵事業」では、「原材料である家畜の糞尿(バイオマス)の安定確保」と、「製造したメタンガスの安定需要」が見込める、いわばスーパービジネスモデルの構築が必要になります。
その上、バイオマスを利用したメタン発酵には、前処理や廃水処理も含めると多額の設備投資が必要となりますから、設備の減価償却を十分にまかなえる収益構造も要求されます。
結果的に、以下のような収益構造であっても経営を維持できるのであれば、「エネルギー製造会社」でも「バイオマス処分会社」でも選択することができますが、経営が維持できなければ「バイオマス処分会社」を選択するしかないということになります。
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処分業の許可や施設の設置許可を取得するには、時間も費用も当然かかりますから、取得しなくてもよい方策があるのであればそちらの方向を検討したいというお客様の気持ちは理解できます。
処分業で起業した後に製造業に業態が変化したとしても何ら問題はありませんが、製造業で起業した後に市況等の何らかの外的要因で処分業に変更せざるを得ない状況になったときは、処分業の許可を取得する必要があるので、年単位で事業の休止を覚悟しなくてはなりません。
リサイクル事業の根源は行き着くところ「廃棄物処理」ですから、適正な処理費用を徴収してリサイクル製品を作り上げる処理業として事業計画を策定すべきではないかと思います。
動物の糞尿などのように「物の性状」からして「普通に考えれば廃棄物」をリサイクルする場合は、特に思います。
以上の理由で、リサイクル事業を計画されている事業者の方には、「リサイクルするなら許可を取ってやって下さい!」とエラそうに言ってます。
リサイクルに関連するこちらのコラムも参考にどうぞ >>> 廃棄物と有価物の境い目は?
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