【5】委託契約に第三者が加わる場合
ブローカ行為は禁止です
「排出事業者と産廃収集運搬業者、排出事業者と産廃処分業者がそれぞれで直接契約を締結しなさい」というのが廃棄物処理法の主旨ですが、その間に仲介業者とか管理会社と言われるような第三者が加わること自体は違反行為ではありません。
ただし、廃棄物処理法は「取り次ぎ」「口利き」「仲介」などのブローカ行為を禁止していますので(法第14条第15項)、「排出事業者」→「仲介業者・管理会社」→「処理業者」という契約形態をとることはできません。
●法第14条第15項 (不当なブローカ行為は認めません!) |
---|
産業廃棄物処理は、「産業廃棄物処理業者その他法令で認められた者しかできない行為」ですから、許可を有しない「仲介業者・管理会社」が排出事業者から廃棄物の処理を受託して、その処理を産業廃棄物処理業者に委託することは違法行為であり(無許可で廃棄物処理を受託)、最も重い罰則に該当します。
たとえ「仲介業者・管理会社」が廃棄物処理の許可を有していた場合でも、事前に排出事業者の承諾を得ずに他の産業廃棄物処理業者に委託するいわゆる「再委託」はできません。
仲介業者・管理会社が介入する場合は要注意!
「うちの管理会社さんは、とても段取りがよく助かるわー」と思っている排出事業者が、仲介業者・管理会社をきちんと介入させて委託契約を締結しようとする場合は、「一括委託契約」という方法があります。
仲介業者・管理会社が1社介入すれば3社一括契約、仲介業者・管理会社が2社介入すれば4社一括契約というような契約形態で、契約書の当事者が「排出事業者(甲)」、「処理業者(乙)」、「仲介業者・管理会社(丙)」となり、最後にそれぞれが署名押印することになります。
ただし、民法上は有効な契約形態なのですが、廃棄物処理法の観点からはこの契約形態は推奨されていません。
排出事業者は、その廃棄物を適正に処理しなければならないという重要な責任がありますが、仲介業者や・管理会社などに丸投げしていては、排出事業者責任の重要性に対する認識や排出事業者と処理業者との直接の関係性が希薄になり、ひいては不法投棄などの不適正事案につながる懸念があるからです。
平成28年1月に愛知県で起きた食品廃棄物の不正転売「ダイコー事件」の後に、環境省が『廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について』という通知を発出しています。
この通知の中で環境省は、各都道府県の廃棄物処理担当部長宛に、「規制権限の及ばない第三者が排出事業者と処理業者との間の契約に介在し、あっせん、仲介、代理等の行為を行なわないよう、排出事業者や廃棄物処理業者に周知徹底及び指導をしてほしい。」と依頼しています。
●廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(環廃対発第1703212号 平成29年3月21日) |
---|
「仲介業者や管理会社を介入させているけれど、当社は排出事業者責任を120%果たしている!」と自信をもって言える排出事業者以外は、「一括委託契約」を採用しないほうが良さそうです。
仲介業者・管理会社が介入する場合の契約方法は?
環境省が奨励していないけれども事情があって仲介業者・管理会社を介入させざるを得ない場合、委託契約書を作成するにあたっての注意点がひとつあります。
委託契約書の中には必ず「委託者が受託者に支払う料金」を記載しなければなりません。
この金額は排出事業者が仲介業者・管理会社に支払う「紹介料込みの総額」ではなく、仲介業者のマージンを除いた実際に「受託者(処理業者)に支払われる料金」を記載してください。
不適正な仲介料金の搾取によって、最終的に処理を行なう業者さんに適正処理に見合ったお金が支払われないことを防止するための規定で、不当なブローカ行為を排除しようという目的があります。
いうまでもなく、仲介業者・管理会社を介在させても排出事業者の排出事業者責任が軽くなることは一切ありませんから、「委託基準」を遵守して、マニフェストを運用・保管する義務は、相変わらず排出事業者にあります。
仲介業者・管理会社が様々なサービスを排出事業者に付与して、排出事業者の負担軽減を図ったとしても、それによって引き起こされる廃棄物処理法に関わるリスクは、常に排出事業者にあるということを忘れてはなりません。
他社の依頼で産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。
産廃許可なら横浜市の産廃専門 Y&Y行政書士事務所に全部お任せ下さい! |
---|