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産廃の委託契約書 その②

産廃の委託契約書 その①の続きです。委託契約書の中身を見ていきましょう。

【3】委託契約書の法定記載事項

すべての委託契約書に共通する法定記載事項

次の図に示す8つの事項は、「収集運搬委託」「中間処理委託」「最終処分委託」の別を問わず、すべての委託契約書に記載しなければなりません。

委託契約書法定記載事項8項目

※上の表の画像が不鮮明の場合は、画像をクリックすると拡大します。

【法定記載事項 共通8項目】 省略は許されません!

(1) 委託する産業廃棄物の種類と数量
委託する産業廃棄物が20種類のうちのどれに該当するかを記入します。
産業廃棄物の種類はこちらを >>> 産業廃棄物の定義

複数の産業廃棄物が一体不可分となった混合廃棄物を処理委託する場合は、契約書の種類欄に産業廃棄物の種類をひとつずつ明示しますが、数量についてはその混合廃棄物の台数を記載してかまいません。

例えば廃棄するシュレッダーを処理委託する場合、「廃プラスチック類」「金属くず」「ガラ陶」の3種類の産業廃棄物を処理委託することを契約書に明記する必要がありますが、数量は「シュレッダー3台」と記載します。

産業廃棄物の数量は、1日あたり、1ヵ月あたり、又は1年あたりの予定数量を記載します。

予定数量は、計量した重量や容積を記載することが原則ですが、「2トントラック:3台分」、「200Lオープンドラム缶:5本分」、「1000Lフレコンバッグ:7個分」というような記載も可能です。

(2) 委託者が受託者に支払う料金
定期的に処理料金が変動する場合には、委託料金記入欄に「別途覚書によって決定」と記載し、添付資料として覚書を必ず委託契約書といっしょに保存することが必要です。

契約書の「委託料金」の欄を空欄にしておくと、不適正処理に巻き込まれた際に行政等から調査を受けた場合、不法投棄をされても仕方がないような安値で処理委託していたとみなされることがあるので、注意が必要です。

(3) 適正処理のために必要な情報
WDS(廃棄物データシート)を添付してもかまいません。

  1. 産業廃棄物の性状・荷姿
  2. 通常の保管状況下での腐敗、揮発等の性状変化の情報
  3. 混合等により生ずる支障
  4. 含有マーク表示がある場合はその旨(※欄外に解説)
  5. 石綿含有産業廃棄物が含まれる場合は、その旨
  6. その他、取扱い際に注意すべき事項

(4) 上記3の情報に変更があった場合の伝達方法
原料や製造工程等が変わって、提供していた廃棄物情報が変更になった場合は、メールやファックス等で連絡し、直ちに変更後の情報に基づいたWDS(廃棄物データシート)等を書面で提出必要があります。

(5) 受託業務終了時の委託者への報告
通常は、「処理終了年月日が記載されたマニフェストの返送をもって業務終了の報告とする」という記載が一般的です。

ただし、産業廃棄物の処理を「専ら業者」に委託した場合は、専ら業者の特例によりマニフェストの運用は不要となりますので、マニフェストに代わるもので受託業務終了の報告をしなければなりません。

専ら物であっても受託業務終了報告のためにマニフェストを使用してもかまいませんが、「月次ごとに集計し、翌月の10日までに前月分の処理状況を書面で報告する。」という契約であってもかまいません。

(6) 委託契約解除時の未処理廃棄物の取扱い
どちらの責任で処理するかを当事者間で事前に決めておく必要があります。

(7) 委託契約の有効期間
契約書の雛形の多くは、『◯◯年△月☐日~●●年▲月■日』のように期限をきっちり記載していますが、再契約の手間と印紙代の節約もかねて自動更新の条項を入れることも可能です。

(8) 受託者の許可の事業の範囲
「添付する許可証のとおり」と記載し、許可証の写しを契約書に必ず添付します。

※含有マーク(日本工業規格C0950号に規定する含有マークの表示)
資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)に基づいて、有害物質を含有する製品等については、日本工業規格(JIS C0950)に規定する含有マーク等による表示が平成18年7月1日より義務づけられています。

【対象となる製品】

  1. パーソナルコンピュータ
  2. ユニット形エアコンディショナー
  3. テレビジョン受信機
  4. 含有マーク

  5. 電子レンジ
  6. 衣類乾燥機
  7. 電気冷蔵庫
  8. 電気洗濯機

【対象となる有害物質】

  1. 鉛又はその化合物
  2. 水銀又はその化合物
  3. カドミウム又はその化合物
  4. 六価クロム化合物
  5. ポリブロモビフェニル(PBB)
  6. ポリブロモジフェニルエーテル(PBDE)

収集運搬の委託契約書のみの法定記載事項

【収集運搬の法定記載事項】

  1. 運搬の最終目的地の所在地(複数あっても可)
  2. 積替え保管を行う場合は、
    • 積替え保管場所の所在地
    • 積替え保管場所で保管できる産業廃棄物の種類
    • 積替え保管のための保管上限
    • 安定型産業廃棄物を積替え保管する場合、積替え保管場所で他の産業廃棄物と混合することの許否

収集運搬の委託契約書の法定記載事項には、なぜかしら『排出事業場(産廃をピックアップする場所)』がありません(マニフェストは法定記載事項です)。

しかし、『排出事業場』についての記載がないと、収集運搬業者が産廃をピックアップする自治体の許可を有しているか否かを判断することができませんから、必ず排出事業場の名称・住所を記載することが必要です。

排出事業場が複数に渡る場合は、「神奈川県内の事業場」とか「東京都内の建設工事現場」という包括的な記載も可能です。

中間処理の委託契約書のみの法定記載事項

【中間処理の法定記載事項】

  1. 中間処理場の所在地
  2. 中間処理の方法
  3. 中間処理施設の処理能力
  4. 中間処理残さを最終処分する場合は、
    • 最終処分する場所の所在地
    • 最終処分する方法
    • 最終処分する処理能力
  5. 輸入された廃棄物であればその旨

※中間処理の段階で”産業廃棄物から抽出した有価物の売却先”については、記載義務はありません。

【4】委託契約書への添付書類

許可証の写し

委託契約書には、委託先処理業者の「許可証の写し」を添付しセットで保存する義務があります。

自動更新条項のある契約書の場合、当初契約の際に添付した委託先処理業者の許可証の有効期限が満了していることがあります。

この場合、委託先処理業者の許可内容が、その後に変わっている可能性もありますので、普段から委託先処理業者と積極的にコミュニケーションを図ることが重要になります。

WDS(廃棄物データシート)

環境省より廃棄物情報の提供に関するガイドライン等が出されていますので参考にどうぞ。
参考 ⇒ 廃棄物情報の提供に関するガイドライン

安全な産業廃棄物処理のためには、産業廃棄物の性状や含有物質の情報は必要不可欠ですから、WDSの内容に変更があった場合は、排出事業者から委託処理業者に対し、適切に情報提供を行ない、最新のWDSを契約書とともに保管をします。

この際、WDSの変更日と委託先処理業者への情報提供日及び情報提供手段等を記録に残す必要があります。

『委託契約書の法定記載事項』をみてきましたが、コラムの記事が長くなりましたので、続きはこちらのコラムでどうぞ。 >>> 産廃の委託契約書 その③>

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