【1】廃棄物ではないけれど
保管や破砕をするなら届け出を!
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スクラップヤードの設置は事前届出が必要な場合がある
2017年6月の廃棄物処理法の改正により、『有害使用済機器保管等届出制度』が2018年4月1日に施行されました。
『有害使用済機器』というネーミングからは、特別なもの、あまりお目にかかれないようなものを想像してしまうのですが、いわゆる『雑品スクラップ』のことで、この雑品スクラップの取り扱い(保管及び処分)について規制がかけられました。
【雑品スクラップ】 = 【有害使用済機器】
空き地などに使用済みの家電などが山積みされて、野ざらしになっている光景を見たことはありませんか?
野ざらしの使用済家電であっても「有価な資源として取引されているので廃棄物ではない」と判断された場合は、廃棄物としての規制が困難であるため行政としてもなかなか行政指導や改善命令が出せませんでしたが、ここにメスが入ったわけです。
近年、スクラップヤードに積まれた使用済みの家電や小型電気製品に内蔵された電池などが原因で、火災が発生したと報じるニュースを見聞きすることがあります。
火災だけでなく、スクラップヤードでの保管や破砕等に際して、雑品スクラップに含まれる有害物質が周辺に飛散流出するなど生活環境への悪影響が生じることも懸念されるため、環境省は何らかの規制が必要だと判断したことが背景にあります。
●『有害使用済機器保管等届出制度』が制定された背景
●『有害使用済機器保管等届出制度』の要旨
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【2】”保管等届出制度”の概要
『雑品スクラップ』ってなに?
改正廃棄物処理法では雑品スクラップを以下のように定義しています。
●改正廃棄物処理法第17条の2第1項 |
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この雑品スクラップの定義をもう少し掘り下げてみましょう。
(1) 対象品目は全部で32品目
- 家電リサイクル法に指定されている4品目
- 小型家電リサイクル法に指定されている28品目
世の中にある家庭用の電気製品と小型電子機器のほぼ全部があてはまります。
(2) 家庭用機器だけ
業務用パッケージエアコンや業務用冷蔵庫など、家庭用でなく明らかに業務用機器である場合は該当しません。ただし、家庭用機器との差異について、現場での判断が容易ではないものに限り業務用機器においても対象となります。
(3) 『廃棄物でなく』かつ『製品として再使用されない』機器であること
- 「廃棄物」か否かのふるいにかけ、「廃棄物」と判断された機器は該当しない。
- 廃棄物でないと判断された機器を「本来の用途としての使用が終了しているか否か」のふるいにかけ、使用が終了していると判断された機器が雑品スクラップに該当する。
- 中古品であって本来の用途としての使用ができる機器は、「製品リユース品」として中古品市場等で再使用されるため雑品スクラップには該当しない。
(4) 外形上もとの32品目の機器と判別できること
たとえ破損していても原形をとどめており、エアコンとかPCとかきちんと判別できる状態の機器が対象になります。
- 解体して取り出された部品(PCを解体して取り出したHDや基板など)や、原材料となるまで処理されたもの(鉄鋼原料や金属製錬の原料用等とできるまで選別された基板、鉄くず、アルミくずなど)は該当しない。
- テレビ・エアコンのリモコンや ACアダプタ等の附属品は該当する。
有害使用済機器(雑品スクラップ)の保管・処分の基準
環境省から出されている保管・処分の基準のガイドラインの冒頭の部分を以下に引用します。
「有害使用済機器」のネーミングは、火災よりも土壌汚染や公共水域の水質汚染の防止に重きを置いているというメッセージであると考えてもよいのでしょうか。
●雑品スクラップの保管・処分の基準の要旨 |
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保管基準と処分基準の具体的な内容は、環境省が出しているとてもわかり易いリーフレット(なんと4ヵ国語)が参考になりますので、日本語版を以下に引用します。
基本的な考え方としては、『産業廃棄物収集運搬業許可/積替え保管あり』を申請する際の『積替え保管場所の要件』と同様と考えて差し支えありません。
《出典:環境省HP「リーフレット:有害使用済機器を保管又は処分する事業者のみなさまへ(日本語)」》
※文字が小さい場合は、画像をクリックしてください。
届出の方法
いきなり届出書を窓口に持参するのは得策ではありません。
まずは窓口に電話を入れて事前相談のアポイントをとり、現在のヤードの状況を説明し、現在のヤードの施設の状況が届出に値するレベルにあるかどうかを確認する必要があります。
場合によっては、管轄する都道府県(政令市)の担当者にヤードに来てもらい、実地で指導を仰ぎ、法定された保管基準や処分基準に満たない場合は、それを改善してクリアにしたうえで届出を行ないます。
届出書のまくら(様式第35号の2)に以下の表にある添付書類を正副2部用意をして、スクラップヤードの所在地を管轄する都道府県または政令市に届出をします。
添付書類等 | 記載事項 |
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事業計画の概要 |
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【事業の用に供する施設を設置する場合】 設置する施設の概要 |
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土地または施設の所有権を有することを証する書面 |
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【処分または再生を業として行なう場合】 処分または再生に伴って生じた廃棄物と再生品の詳細 |
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【法人の場合】 登記事項証明書 【個人の場合】 住民票の写し |
わー、面倒だな!と思っても罰則がありますから、届出をしないで済ますことはできません。
もしもスクラップヤードの周辺住民から都道府県や政令市に通報や相談が寄せられ、行政が立入検査に入ったときに、そのスクラップヤードが届出対象であるにもかかわらず届出がされていなかった場合は、それはそれはややこしいことになりかねません。
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他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。
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