【3】一般廃棄物を自社運搬する場合は?
「書類の携帯」や「車両の表示」などの規定はありませんが・・・
造園業者さん(造園工事業ではなく、園芸サービス業の植木屋さんのことです)が、剪定などの仕事で出てきた「事業系一般廃棄物」の収集運搬を一般廃棄物収集運搬業の許可業者さんに委託せずに、自らが市町村の清掃センターなどに運搬する場合があります。
一般廃棄物を自社運搬する場合、廃棄物処理法では「書類の携帯」や「車両の表示」などの規定はありませんが、市町村ごとに条例等で細かな規制を設けていますので、市町村のHPを確認するか、直接市町村に電話で確認が必要です。
例えば横浜市では搬入日の10日前から6日前までの間に「搬入届出書」を出して、承認を受けたもの以外は搬入ができません。
東京23区の場合、量が多いとマニフェストの運用をしなければなりませんし、運転手さん自身がその会社の社員でなければならず、たとえ会社の社員が助手席に同乗しても許しませんという規定があります。
自治体ごとのルールを確認せずに清掃センターに運んだら、「残念ですが、お持ち帰りください!」と言われますのでご注意ください。
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【閑話休題】産廃の自社運搬車両見っけ! ところで、産廃の収集運搬車両が法定された表示を行なって走行しているのはよく見かけるのですが、純粋に自社運搬の表示を行なっている車両を、皆さんは見たことがありますか? 確かにあまり遭遇しないのですが、先日事務所の近くでマグネットシートで自社運搬の表示をした軽のワゴン車を発見! さすがに大手、「○○ガス」さん、ちゃんとやられていますね。 下取りしたガス給湯器なのでしょうか、作業者の方がワゴン車の荷台にせっせと積み込んでいました。 えっ?オチはなんですかって? コンプライアンス遵守の企業の姿勢が少しばかりうれしかっただけですけど、ナニか。 |
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【4】自社運搬の『自社』についての考察
「自社」の定義は・・・
「自社というのだから自分たちでいうことですよ。そんな細かな考察が必要ですか?」と私自身思っていたのですが、意外や意外、これに関するお問合せが少なからずありますので、まとめておきたいと思います。
それでは、自社運搬の「自社」とはどのように定義すればよいのでしょうか。
例えば「(法人格の異なる)子会社の従業員が、子会社のトラックを運転して(法人格の異なる)親会社の廃棄物を運んだ場合」は、これは明らかに「自社」ではなく「委託」と指摘されてもしかたありませんから、子会社が収集運搬業許可を有していなければ、親会社も子会社も罰則の対象となる可能性があります(廃棄物処理法第25条違反:無許可業者に廃棄物処理を委託、無許可で産業廃棄物の収集運搬又は処分を受託)。
それでは「子会社の従業員が親会社のトラックを運転して、親会社の廃棄物を運んだ場合」はどうなるでしょうか。
あるいは「子会社の従業員が親会社のトラックを運転して、かつ親会社の従業員が助手席に同乗して、親会社の廃棄物を運んだ場合」はどうなるでしょうか。
一例ですが、東京23区の清掃センターに事業者が一廃を自社運搬する場合、運転手さん自身がその事業者の社員でないと、たとえ助手席にその事業者の社員が同乗していても、一廃の搬入を拒否されてしまいます。
許可を受けている自社の範囲は・・・
自社運搬の自社という問題は、収集運搬業許可を取得している事業者の『許可を受けている自社の範囲はどこまでか?』という問題と共通していると考えられます。
先日、収集運搬の許可業者さんから次のようなお問合せをいただきました。
(問い) 産業廃棄物収集運搬業者です。 運転手が足りず、他社から人材を借りて自社の車両で収集運搬することは違法でしょうか? |
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「自社の車両で」ということですから、許可申請の際の登録車両であれば何ら問題はないのですが、「他社から人材を借りて」となると、借りるというレベルが問題になりそうです。
廃棄物処理法は、収集運搬業許可を取得するために役員が技術的な講習会を受講し、その内容を自社の従業員に教育指導することで、不適正事案(不法投棄などの法律違反)が起こらないようにしようということを予定しています。
ですから行政としては、登録してある収集運搬車両を運転する者には、当然のごとく許可業者の指揮監督が及んでいる必要があり、正規社員かあるいは正規社員でないにしても、「労働条件通知書」や「雇用契約書」などが存在するパートさんかアルバイトさんを想定しているはずです。
「他社から人材を借りて」という状況下で、万が一何かがあって行政が入ってきたとき、まずは収集運搬業許可の名義貸しではないことを真っ先に抗弁し、次に運転手の身分をきちんと明かすことが求められます。
運転手の身分を明かした時に行政側が予定していた人でなかったとしたら、やはり面倒なことになりかねません。
そこで結局のところ、『許可業者における許可を受けている自社の範囲』のお問合せにも、また『自社運搬における自社の範囲』のお問合せにもまったく同じ、何とも味気ない、教科書どおりの回答を差し上げています。
たぶん自治体の廃棄物指導課に問い合わせても同じような回答が返ってくると思われます。
(答え) 『自社の従業員が、自社が所有権(又は使用権限)を有するトラックを運転して、廃棄物を運ぶ』ことに徹したほうが賢明ですよ。 |
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他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。
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