【1】家庭系一般廃棄物を運ぶための
新規許可はもうほとんど取得できない!
これが一般廃棄物収集運搬業許可の現状です
残念ながら、引越し・遺品整理・片付け代行などの事業目的だけでは、一般廃棄物を市町村のクリーンセンター(清掃センター)に持ちこむための一般廃棄物収集運搬業許可を新規に取得することはできません。
その理由は、産業廃棄物とは全く異なる「一般廃棄物行政特有の事情」があるからなのです。
許可取得の 『むずかしさ』 にはワケがある
一般廃棄物の許可を取得するのは大変難しいとよく言われますが、それには理由がありました。
そもそも廃棄物処理法第7条第5項に以下のような条文が規定されています。
●廃棄物処理法第7条第5項 |
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市町村が、一般廃棄物処理計画で「一般廃棄物のことは一から十まで全部自分たちでやりますし、できますから。」と決めたら民間に許可は出しませんが、「一から七までしかできない(やらない)ので、残りの三はよろしく。」と決めたら、一定の要件を満たした民間業者に許可を出します。
つまり、市町村の裁量次第で許可がおりたりおりなかったりします。
それでは、「処理困難な場合とはどんな場合か?」というと、平成15年に環境省から「市町村による処理が困難な場合の判断基準」という通知がわざわざ出されています。
●市町村による処理が困難な場合の判断基準 |
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この通知では、「一般家庭から出る家庭廃棄物は処理困難とはいえないけど、事業系一般廃棄物は処理困難といってもかまわないよ」と明言していますから、市町村としてはいきなり一般家庭から出る廃棄物を運べますという許可は出しづらいので、「まずは事業系一般廃棄物限定ですよ」言わざるを得ないのだと思います。
ところが遺品整理や片付け等の需要が年々増加していることから、家庭系ごみの収集運搬を希望する現行の許可業者に対して、「家庭系臨時ごみ」や「一時多量ごみ」という許可を与えている自治体が出てきました。
神奈川県や東京都でいうと、相模原市、川崎市、町田市などがそれです。
許可証に「一般ごみ(事業系)」と記載があったものが、それにプラスして「家庭系臨時ごみ」を記載してもらって、一般家庭からのごみを運ぶことができるようになった訳です。
ちなみに「委託業者」とは、市町村から適正な委託料の支払いを受けて一般廃棄物の収集運搬及び処分を行なう業者さんのことです。
「委託業者」は、政令で定められた委託基準を守らなければいけませんが、収集運搬業・処分業の許可は必要ありませんので(ただしほとんどの業者さんが許可を持っていますが)、「許可業者」とは異なります。
先日も遺品整理のビジネスをされているお客様から「◯◯市の廃棄物課に電話したら、遺品整理目的で一廃の収集運搬許可は出せないって言われたんだけど、行政書士ならとれるでしょう?」とお電話をいただきました。
申し訳ありません、倍の報酬を頂戴しても許可は取れません。
【2】ハードル高いけど事業系一般廃棄物なら
新規に許可がとれるかも!
事業系一廃の許可取得のためにまず初めにやること
一般廃棄物収集運搬許可を新規に取得することを検討している業者さんは、市町村の役場に電話を入れ、廃棄物を管轄する例えば「廃棄物指導課」 などに取次をしてもらい、以下の質問をして下さい。
●廃棄物処理を管轄する部署に以下の質問をする
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無情にも「当市(当区、当村)では、現行の体制で一般廃棄物の適正な処理を継続的かつ安定的に確保することができると判断されるため、新規で許可を出す計画はない」と言われたら、その時点であきらめざるを得ないのですが、物事には必ず例外というものがありますから、「何か条件付きなら許可されるという可能性はありますか?」と聞いてみても損はありません。
幸いにも新規許可が凍結されておらず、「事業系一般廃棄物」の許可なら出すと言われた場合は、オフィス、飲食店、工場、病院、学校などの「事業所」から排出される「事業系一般廃棄物」を収集運搬する事業計画を立案するところから始めます。
ここでいう「事業系一般廃棄物」を収集運搬する事業計画とは、「事業を的確にかつ継続して行うに足りること」を要求していますので、引越しのついでに回収しますというような「付加的な事業計画」では、残念ながら許可はおりません。
ですから、「造園業者さんを顧客にして、事業系一般廃棄物の木くずを収集運搬してリサイクルする。」とか、「病院や福祉施設や保育所を顧客にして、事業系一般廃棄物の紙おむつを収集運搬する。」など、しっかりした事業計画が立案できれば、一般廃棄物収集運搬業許可を取得できる可能性があります。
一般廃棄物収集運搬業の許可窓口は『市町村』
産廃の許可の窓口は「都道府県」ですが、一廃の許可の窓口は、「各市町村」です。
例えば、横浜市の許可しか取得していない一般廃棄物収集運搬業者が、川崎市の事業系一般廃棄物を収集運搬することはできません。
ちなみに横浜市と川崎市の両方の許可があっても、横浜市で登録した収集運搬車(パッカー車)は、川崎市では使用できません。
東京都の特別区(23区)の場合も、港区の許可しか取得していないのに、品川区の事業系一般廃棄物を収集運搬することはできません。
ちなみに港区と品川区の両方の許可があれば、収集運搬車(パッカー車)は共通で使用できます。
東京都の23区すべてで一般廃棄物収集運搬事業を行なう場合は、23個の許可が必要になります。
自治体に「許可要件」をしっかり確認する
自治体によって許可要件が大きく異なりますので、事業活動を計画されている自治体にまずは事前の相談が必要です。
欠格要件に該当しないこと、一定の経理基盤を有していること、必要な設備を有していることなどは、産業廃棄物収集運搬業許可と同様ですが、前述しましたように新規参入を難しくさせていると思われるいくつかのポイントがあり、市町村ごとに要件はまちまちです。
要件の一例をあげてみます。
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「一般廃棄物収取運搬業許可を取得したいのに、どうして産廃の収集運搬業許可を持っていないとダメなの? 」と、素朴な疑問が出てくるかと思います。
「素人がすぐにうまくやっていけるほど一廃の業界はそんなに甘くないよ。産廃の業界でしばらく修業を積んでから出直しなさい。」という強いメッセージであろうと推測しています。
●東京都特別区(23区)の場合
申請窓口は、「東京二十三区清掃協議会」で、複数の特別区(23区)に同時に申請が可能で、一つの区あたりの新規許可申請手数料は、15,000円です。
申請窓口は一本化されていますが、最終的な許可権者は各区長です。
申請の前に廃棄物処理の基本的な能力を審査するために「能力認定試験」の合格が要件になっており、合格率は公表されていませんが、ひとけた台のようです。
しかし、ほとんどの区では現行の一般廃棄物収集運搬業者の数だけで、事業系一般廃棄物の適正処理が確保されているという理由から、令和3年度より新規許可を出さない(能力認定試験を実施しない)ということになっています。
●横浜市の場合
東京都特別区(23区)のような「能力認定試験」はありませんが、平成30年4月1日より一般廃棄物収集運搬業(ごみ)については、現在許可を受けている事業者により、適正処理が確保されていることから、以下のような限定付きの許可しかもらえなくなりました。
【横浜市の限定付き一般廃棄物収集運搬業許可】 |
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他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。
産廃許可なら横浜市の産廃専門 Y&Y行政書士事務所に全部お任せ下さい! |
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産廃専門 Y&Y行政書士事務所
行政書士 斉藤祐二
神奈川県行政書士会所属(登録番号:第15090437号)
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