>>> このコラムは廃棄物と有価物の境い目は②の続きです。
【3】有名な判例の紹介
有価物と判断するか廃棄物と判断するかで争われた裁判で、かつ環境省の通達などにも影響を与えたと言われている有名な判例をふたつ紹介いたします。
ただし、この判例から「有価物と廃棄物の境い目は?」の疑問はクリアになりません。
結局のところ、有価物であると主張するためには、『第三者に対し、総合判断説の5条件について自信を持って説明できるエビデンスを準備すること』に尽きるのではないかと思います。
自信が持てないのであれば、「廃棄物」として運用するしかありません。
●おから裁判 (最高裁第二小法廷平成11年3月10日決定) 総合判断説を認めた有名な判決がこのおから裁判です。 《事件の概要》 《結果》 《判決の主旨》 ●水戸木くず事件 地裁判決 (水戸地裁平成16年1月26日判決) 《事件の概要》 略式裁判で水戸簡裁から罰金50万円の略式命令が出たが、チップ加工会社はこれを拒否して争われた。 《結果》 《判決の主旨》 排出事業者にとっては産廃処理費用が安くなり、チップ加工会社にとってはチップの売却費が得られるという、双方にとって利益があるということで、排出事業者側が処理料金を支払っているにもかかわらず取引価値が認められため、木くずは廃棄物ではないとされた。 ●水戸木くず事件 再審高裁判決 (東京高裁平成20年4月24日判決) 《事件の概要》 《結果》 《判決の主旨》 このチップ加工会社は受入量、管理体制、事業計画などから製造事業としての確立はないと判断された。 |
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【4】有価物にも規制がかかります
『雑品スクラップ保管等届出制度』について
2018年4月1日より、『有害使用済機器(雑品スクラップ)保管等届出制度』が施行されました。
ここでいう『雑品スクラップ』とは、廃棄物でなく、かつ製品リユースもされない家庭用電気・電子機器32品目のことで、回収した雑品スクラップをスクラップヤードで保管したり破砕などの処理を業として行なう場合、処理業許可業者などを除き、都道府県知事・政令市長に対し、事前に届出することが義務付けされました。
有価で回収したパソコンを解体し、基板、ハードディスク、電源など比較的価値の高い部品を中古市場に販売する場合、回収したパソコンは多くの場合「有価物である」と判断されてきました。
『雑品スクラップ』が有価物であるがうえに、廃棄物処理法に基づく規制を受けずにスクラップヤード等で環境保全上不適切に取り扱われ、火災や有害物質の漏えい等、生活環境上の支障を生じることが懸念されるということが今回の法規制の背景です。
廃棄物処理法は制定以来「廃棄物」のみにフォーカスして今日に至っていますが、はじめて「有価物」に焦点をあてたという意味では画期的と言えるかもしれません。
『有害使用済機器(雑品スクラップ)保管等届出制度』の詳細はこちらから
>>> 雑品スクラップ保管等届出制度
「リスクを回避するために産業廃棄物収集運搬業許可を取得しておいた方がいいかな~」と思われた業者さんは、以下を参考にどうぞ。 >>> 許可取得までの流れ 他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。 産廃許可なら横浜市の産廃専門 Y&Y行政書士事務所に全部お任せ下さい! |
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