【1】”造園工事業”と”園芸サービス業”の違い
総務省が発表している「日本標準産業分類」では、『造園工事業』は「大分類E:建設業」に、『園芸サービス業』は「大分類A:農業」に分類されています。
作業現場で出てきた同じ木くずの扱いが、実は『造園工事業』と『園芸サービス業』ではまったく異なります。
自社がどちらに該当するかを認識しておかないと、思わぬところでコンプライアンス違反をしてしまいますので、少し整理をしてみたいと思います。
造園工事業から出た木くずの処理
廃棄物処理法では、新築、改築、増築、解体といった建設工事から排出される木くず(枝葉・幹・根株・竹)は 産業廃棄物と定められています。
庭園、公園、緑地等を築造する工事で、土工事を伴う樹木の植栽工事や、公園等の芝生の貼り付け、客土、目土などの養生工事は、建設業の「造園工事業」に該当し、この工事で生じた木の剪定くず等(枝葉・幹・根株・竹)は産業廃棄物です。
植木の剪定や街路樹の枝払いなどは、建設業に該当しません。
もっとも「造園工事業」だけでなく、足場の設置や外構工事などの建設工事に伴って剪定をしたものも産業廃棄物となります。
ただし、『草』は産業廃棄物の木くずではなく、事業系一般廃棄物に該当しますから注意してください。
園芸サービス業から出た木くずの処理
主として請負で築庭、庭園樹の植樹、庭園・花壇の手入れなどを行う造園業、言い換えると「植木屋さん」は、建設業ではなく「園芸サービス業」に該当し、この作業で生じた木の剪定くず等(枝葉・幹・根株・竹・草)はすべてが一般廃棄物です。
【2】『排出事業者』は誰ですか?
造園工事業から出た木くずの排出事業者
平成22年の廃棄物処理法の改正で建設工事に伴って排出された廃棄物の排出事業者は元請業者と正式に条文化されていますので、造園工事業の現場から出た木くずや刈草の排出事業者は、元請業者ということになります。
●廃棄物処理法第21条の3 第1項 |
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園芸サービス業から出た木くずの排出事業者
さて、ここで問題です。
● 問題 : 排出事業者は誰? 植木屋さんが庭の剪定をして出た枝木の排出事業者は、植木屋さんに庭木の手入れを依頼した依頼主でしょうか、それとも枝木を剪定した植木屋さん自身でしょうか? |
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以下が正解です。
● 答え :市町村によって判断が異なります 一般廃棄物を管轄する市町村によって判断が異なるので、木くずが発生する場所の当該市町村の廃棄物指導課に確認して下さい。 |
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神奈川県横浜市を例にとりますと、「枝木を剪定した時点で、剪定された枝木は植木屋さんのもの」と横浜市一般廃棄物指導課では定義していますので、植木屋さんは排出事業者ですから、自社運搬として一般廃棄物収集運搬業許可がなくても、横浜市の清掃工場や木くずのリサイクル工場に持ち込むことが可能です。
ただし横浜市の清掃工場も焼却炉に入らないサイズの木くずは受け入れできませんから、木くずのサイズを「直径20cm以下、長さ300cm以下であること」という条件を付けており、長さが50cm以上のものは破砕機のある施設に持ち込まなければなりません。
他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。
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