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早わかり”家電リサイクル法”

【1】家電リサイクル法とは
 (正式名称:特定家庭用機器再商品化法 2001年4月施行)

家電リサイクル法の目的

一般家庭から排出される使用済の家電製品(廃家電)は、年間60万トン以上に及び、従来その半分以上が埋め立て処分されてきました。

廃家電は再利用できる有用な資源の集まりですから、これを適正に処分して有用な部品・素材のリサイクルにより廃棄物を減らそうという目的で、4種類の廃家電について家電小売業者に回収を、家電メーカーにリサイクルを、消費者にそれに係る費用の負担を義務づけたのが家電リサイクル法です。

家電リサイクル法の対象品目

以下の4つの廃家電のみが対象で、事業活動に伴って排出された場合は「産業廃棄物」、一般家庭から排出されれば事業活動に伴っていないので「一般廃棄物」になります。

すべて「家庭用」が対象で、例えば一般家庭はもちろんオフィスで使用していた家庭用のエアコンも該当しますが、業務用のパッケージエアコンなどは該当しません。

ブラウン管テレビ廃家電2●特定家電4品目

  • テレビ(ブラウン管・液晶・プラズマ・有機EL)
    ※有機ELは令和6年4月1日から施行
  • エアコン
  • 冷蔵庫・冷凍庫
  • 衣類洗濯機・乾燥機

【2】家電リサイクル法と家電リサイクル券

(1)家電を利用してきた消費者の役割
(費用負担する人)

使用しなくなったテレビやエアコンを家電小売店に引き取りを依頼した場合、消費者は小売店に対し以下のような2種類の料金を支払わなければなりません。

すなわち、捨てるにもお金がかかるということです。

●廃棄するにあたって消費者が負担する費用の内訳

  1. 廃家電の収集運搬(取り外し)費用(小売店ごと料金は異なる)
  2. 廃家電のリサイクル費用(製造業者や家電の種類ごとに異なる 1,000円~4,000円)

「指定引取場所」が近くにあって、家電小売店に収集運搬料金を支払いたくない場合は、郵便局で「家電リサイクル券(郵便局券)」を購入して(廃家電1台につき家電リサイクル券1枚)、自分で「指定引取場所」に持ち込むことが可能です。

家電リサイクル券の価格や最寄りの「指定引取場所」などは、一般財団法人家電製品協会のHPに案内がありますのでアクセスしてみてください。

※「指定引取場所」は全国に約350箇所あり、どのメーカーの家電4品目でも持ち込み可能です。

一般財団法人家電製品協会 >>> 一般財団法人家電製品協会

家電リサイクル法の基本的な考え方

《出典:経済産業省HP 「家電リサイクル法 担当者向けガイドブック」》

(2)家電を販売した小売業者の役割
(頼まれたら回収しリユースやリサイクルに回す人)

家電小売店や家電量販店等、店頭での販売や新品の販売に限らず、インターネット販売・通信販売や、リユース品を販売する古物営業や質屋営業も含まれます。

また、通常はリサイクル料金の徴収と製造業者等への支払手続を円滑に行なうために、家電リサイクルセンターが運営している「家電リサイクル券(グリーン券)」システムに加入します。

●小売業者に課せられる4つの義務

  1. 「自らが過去に販売した廃家電」又は「買換えの際に同種の廃家電」の引き取りを依頼された場合は、引き取る義務がある(法第9条)。

    • 収集運搬料金は小売店自らが、事前に「適正な原価」を勘案して設定し、かつ公表する義務があります。
    • リサイクル料金は製造業者(メーカー)ごとに異なっているため、廃家電のメーカー名や型式等を確認した上で、そのメーカーが公表しているリサイクル料金を請求または照会回答を行う必要があります。
    • 過去に販売した家電でなく、また買換えのタイミングでもなく、ただ単に廃棄することを依頼された場合は、小売店には引き取りの義務はありませんが、引き取ることはできます。
    • 買換えの場合、販売した台数よりも多くの同種の廃家電の引き取りを求められたときは、その全てで引き取る義務が生じます(料金は台数分を請求可能)。
  2. 引き取った廃家電を「指定引取場所」に引き渡す義務がある(法第10条)。

    • 以下の3つの場合は「指定引取所」などへの引渡し義務はありません 。
      ①廃家電を自ら製品としてリユースする場合
      ②廃家電を製品としてリユースする者(ex.消費者)に有償又は無償で譲渡する場合
      ③廃家電を製品としてリユース販売する者(ex.リユース業者)に有償又は無償で譲渡する場合

      つまり、小売店はリサイクルと収集運搬の料金を徴収して(家電リサイクル券を発行して)、製造業者にリサイクルしてもらうために指定引取所に引き渡すか、または製品リユースのために無償で引き取るかのふたつの選択肢があります。
      家電リサイクル法と命名されていますが、製品リユースが可能な家電はリサイクルに優先します。

    • この場合のリユースは「製品リユース」であり、「部品リユース(部品取り)」は該当しません。
    • リユース品として引き取る場合は、収集運搬料金とリサイクル料金の徴収はできません(徴収した場合は詐欺罪に該当する可能性あり)。
    • リユース品として引き取った廃家電を産業廃棄物処理業者や資源回収業者(スクラップ業者)に引渡した場合は、引渡し義務違反に問われる可能性があります(環境省が不適正処理に係る勧告ということで報道発表するのはこのケースが多いです)。
    • リユース品をリユース業者に譲渡した場合、実際にリユース販売されていなければ、小売業者の引渡義務違反 となるため、リユース販売目的での譲渡であることを契約段階で確認するとともに、適正にリユース販売されているかを定期的に確認することが必要です。
  3. 家電リサイクル券の交付・管理及び保管の義務

    • 家電リサイクル券(グリーン券又は郵便局券)を正しく運用し、かつ控を3年間保管しなければなりません。
    • 引き取った廃家電の顧客から、指定引取場所に引き渡した際の控の閲覧の申し出があったときは、これに応じなければなりません。
  4. 収集運搬料金の公表並びに収集運搬料金及びリサイクル料金の応答の義務

    • 廃家電の収集・運搬料金を予め決めておき、店頭掲示やHP掲載などにより公表する必要があります。
    • 顧客からの収集運搬料金やリサイクル料金の問い合わせに応答する義務があります。

(3)家電を製造したメーカーの役割
(リサイクルする人)

  1. 自社の廃家電についてリサイクル(再商品化)料金を公表する。

    • リサイクル料金は、再商品化等に必要な行為を能率的に実施した場合における適正な原価を上回るものであってはならないとされています。
  2. 「指定引取場所」から過去に製造した廃家電を引き取る。
  3. 引き取った廃家電をリサイクル(再商品化)する。

    • 対象機器の廃棄物から部品及び材料を分離し、これを製品の原材料又は部品として利用する。
    • 対象機器の廃棄物から部品及び材料を分離し、これを燃料として利用する

(4)運用にについてのポイント

●家電リサイクル法の運用のポイント

  1. 廃家電1台につき1枚の家電リサイクル券を運用します。

    セパレート形エアコンは、室内機と室外機のセット又はそのいずれか片方の場合でも同じリサイクル料金で、マルチエアコンも同様です。

  2. 家電販売店などの小売業者自らが、廃家電4品目を引き取りまたは引き渡す行為は、廃棄物の収集運搬行為にあたりますが、家電リサイクル法に基づく廃家電4品目の収集運搬に限り、廃棄物処理法上の許可は不要で、契約書やマニフェストも必要ありません(法第49条)。

    産業廃棄物を収集運搬する際に義務付けられている「車両表示義務」「書面携帯義務」も免除されます。

  3. 家電販売店などの小売業者が、廃家電4品目の収集運搬を外部に委託する場合は、廃棄物処理法上の一般廃棄物又は産業廃棄物の収集運搬業許可を有する業者に委託する必要があり、委託契約は文書で交わします。

    また同時に、小売業者は委託する運搬業者に対し、家電リサイクル券の交付等の作業も合わせて委託することもできます(法第45条)。

  4. 家電販売店などの小売業者から廃家電4品目の収集運搬を委託された業者は、産業廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物収集運搬業のいずれかの許可を受けていれば、産業廃棄物、一般廃棄物のどちらに該当する廃家電4品目であっても収集運搬することができます(法第50条)。

    ただし、廃家電をピックアップする場所と指定引取場所の両方の自治体の許可を有していることが必要で、例えば神奈川県知事の産廃収集運搬業許可のみを有する業者が、神奈川県内で廃家電をピックアップして、神奈川県内の指定取引場所に運搬は可能ですが、東京都の指定取引場所には運搬できません。

  5. 家電販売店などの小売業者から廃家電4品目の収集運搬を委託された業者は、再委託はできません。
  6. 収集運搬を受託した業者の従業員が、回収した廃家電を横流しや紛失(又は不法投棄)した場合は、委託した小売業者も家電リサイクル法違反に問われるので、信頼できる委託業者の選定が必要です。
  7. 事業所等から出た廃家電は、家電リサイクル法に沿った処理でなくても、普通の産業廃棄物として処理委託することは可能ですが、契約書やマニフェストの運用が必要になります。

    この場合の産業廃棄物処理業者は、通常は「金属くず」・「廃プラスチック類」・「ガラ陶」の処理業の許可を有していることが必要です。

家電リサイクル法に関連するこちらのコラムもどうぞ >>> 頑張れ!家電リサイクル法!

【3】まだ十分使用できる家電を中古市場に
  デビューさせる(目安は7年)

不用になった家電を古物として引き取ってもらう

家電リサイクル法が適用される特定家電に限らず、比較的新しくまだ十分使用できる家電製品については、廃棄物処理法の対象外なので「中古品」として「古物商許可」を有した信頼のおけるリサイクルショップに、「買取り(きちんと売却金額をもらって)」を依頼することはできます。

使用しなくなった家電を廃棄物として扱うか、それともリユース品として扱うかの判断はとても微妙ではありますが、平成24年3月19日付けの環境省の通知では、以下のように判断する必要がありそうです。

リユース品としての市場性が認められない場合(年式が古い、通電しない、破損、リコール対象製品等)、又は、再使用の目的に適さない粗雑な取扱い(雨天時の幌無しトラックによる収集、野外保管、乱雑な積上げ等)がなされている場合は、当該使用済特定家庭用機器は廃棄物に該当するものと判断して差し支えないこと」

参考 >>> 使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について(通知)

家電の種類や使用頻度など様々な要素がからんできますので一概には言えませんが、年式だけで考えた場合、7年をすぎるとリユース需要がほとんどなくなるということですので、製品リユース品として中古市場でデビューできるのは、『おおよそ7年』が目安と考えてよさそうです。

不用になった家電を金属回収目的で有価で売却する

不用になった家電を金属回収目的で有価売却する場合は、廃棄物でもなくリユースされるものでもないということで、「有害使用済機器」に該当します。

この場合は、例え古物商許可業者であっても、「有害使用済機器保管等業者」として都道府県知事に届出を出している業者に引き渡す必要があります。

金属回収目的であっても有価売却できない場合は、家電リサイクル法・小型家電リサイクル法の認定を受けている業者か、通常の産業廃棄物処理業者に引き渡してください。

【4】エアコンの設置工事事業をこれから
  始めるお考えの事業主様へ

「産業廃棄物収集運搬業許可」と「電気工事業登録」の二つが必要です。

電気工事士家電リサイクル法のもと、家電量販店からの依頼によるエアコンの設置工事の事業を始めたいとお考えの方は、産業廃棄物収集運搬業許可の他に、電気工事業の登録が必要です。
以下を参照してください。⇒電気工事業の登録(届出)制度

すでに述べたとおり、家電リサイクル法の特例により、産業廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物収集運搬業のいずれかの許可を受けていれば、産業廃棄物、一般廃棄物のどちらに該当する廃家電4品目であっても収集運搬することができますが、現実的には多くの自治体が一般廃棄物収集運搬業許可を新たに出していませんので、都道府県単位で産業廃棄物収集運搬業許可を取得して下さい。

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