クジラの死骸は産廃?一廃?
ちょっと古いですが2015年9月19日の毎日新聞の記事を引用します。
体長約8メートルのクジラの死骸が17日、北九州空港沖で見つかった。 |
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どうもマッコウクジラのようですが、これは誰の責任でどのように処分されるのでしょうか。
「廃棄物処理法で廃棄の必要がある」とありますが、このマッコウクジラは事業活動によって排出されたわけではないので、「産廃」になりません。
廃棄物処理法で定められている20種類の産廃の中に、「動物の死体」とありますが、これは「畜産農業から出た」という業種限定がついていますので、そもそもクジラは該当しませんね。
産廃でないとする「(廃棄物)-(産廃)=(一廃)」ですから一廃です。
一廃は市町村の責任で処理することになっていますから、マッコウクジラを見つけた漁船の船長さんは、市役所に電話をして又は無線で「どうしましょう?」と相談したに違いありません。
日本の水産庁ってすごい
漁船の船長さんから連絡を受けた市役所の廃棄物対策課の職員さんは、「8mものマッコウクジラが、市の清掃センターの焼却炉に入るかな?」とか、「埋立するにも安定型や管理型最終処分場ではなく、有機物に対応できる遮断型最終処分場にもっていかなければならないだろうけど、海からだいぶ遠いな」と悩んだに違いありません。
と、私は想像するのですが、いやいやこれは間違いです。
市役所の廃棄物対策課の職員さんは、このマニュアルを書庫から取り出して見たに違いありません。
このマニュアルよくできてます(なんで上から目線?)。
今回の場合、「海底に沈める」か「陸に上げて適切な場所に埋立る」の二つの対応方法があり、これを丁寧に写真とイラストを駆使して解説しています。
海に沈めるのも想像しているよりも、大変なんですね。
おもりを付けて沈めるのですが、クジラのからだを漁網で覆って、クジラの重さに合わせて括り付けるおもりの重量も細かく規定されています。
埋め立てる場合、決して遮断型最終処分場でなければだめよとは言っていません。
埋却には、必ずしも座礁現場近くにこだわらず、鯨体の運搬が容易であり、 土地の所有者、管理者の了解が得ることができる場所を選択する必要がある。 |
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私は知りませんでしたが、「埋め立て」には「埋却」と「埋設」の2種類あります。
どのように使い分けしているかというと、
また、骨格標本作成のため有用物として埋設する場合には、「鯨類骨格標本作 成要領」(加藤、1986;鯨研通信364号(付録7))に従った埋設方法が効果的である。ただし、埋設に当たっては、一般廃棄物としてではなく有用物であることから土地の所有者又は管理者の了承に加え各関係法令を所管する省庁等の占有許可が必要となる場合もあるので注意願いたい。 |
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という具合に、廃棄物は「埋却」、有用物(有価物)は「埋設」としています。
ちなみに、浜に打ち上げられたまだ生きているクジラの対応方法なども細かくマニュアル化されており、読んでいても大変面白いです。
興味のある方はどうぞ。
大きなお世話?
水産庁のこのマニュアルですが、水産大学出身のクジラ大好き、魚大好きのエリートの方が、作成したのだろうと容易に想像がつきます。
私も魚大好き人間なのでよくわかります。
でも、一点だけツッコミを入れたいと思います。
「クジラが死亡」というフレーズが頻出しますが、これは間違いですね。
「クジラ大好き」が高じて、こうなったのでしょう。
気持ちはよくわかります。
しかし、「死亡」という言葉は、人の死のことで、動物には使いません。
「パンダが死亡しました」なんてテレビのニュースで流れることがありますが、これ「パンダが亡くなりました」ということですから、どう考えてもおかしいですよね。
このマニュアルをアップする前に水産庁のどなたからも、チェックが入らなかったのでしょうか。
水産庁の関係者がこのHPを見ていらっしゃたら、どうぞ修正を。
え、大きなお世話?
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